「遺伝子でDNAとかいじくると食べても、痩せたたままでいられるじゃん」とか
「遺伝子の技術で痩せる薬ができるかもしれないよ」とか
「肥満って、倹約遺伝子、肥満遺伝子、ベータアドレナリン受容体とかが関係するみたいだけど、遺伝子って何?」
なんて、疑問に思った時、遺伝子とかDNAについて知っておくのも、ダイエットをする上で役に立つと思います。
※1 遺伝子はおおまかには解析されているみたいですが、「遺伝子のこの部分が足のつめと関係している。」みたいに、体の隅々まで詳しくは解明されてないみたいで、詳細は解析中だそうです。
※2 遺伝子が完全に解析されると痩せる薬はできるかもしれません。でも、あらたな問題として「この人はすぐ太るから結婚できない」といった、遺伝子差別が起こる可能性が出てくるそうです。
ダイエットをするにあたって避けてはとおれない「体の仕組みの理解」、次は遺伝子について調べてみます。
高校の学習内容(3年生)です。
○ 概要
1 |
DNAはどこにある?
|
細胞の中の核にあります。さらに核の中の染色体にあります。
DNAを作っている4種類の塩基(グアニン(G)、シトシン(C)、アデニン(A)、チトシン(T))という物質の並び方で、遺伝情報を記録しています。
|
2 |
DNAにある情報 |
DNAは、4種類の塩基という文字を使って、生物の設計図を記録しています。
※詳しくは、4種類の塩基の並び方(塩基配列)で何億個ものアミノ酸を指定し、アミノ酸が決まると、アミノ酸からなるタンパク質(体をつくる)も決まることになります。
|
3 |
DNAの複製 |
DNAが細胞分裂で増えるとき、DNAをコピーして増やしていきます。
※詳しくは、DNAの2重らせんを酵素でほどき、それぞれに複製をつくり、どんどん増やしていきます。
|
4 |
DNAがタンパク質(遺伝関係の酵素)をつくる
|
DNAに記録されている生物の設計図によって、タンパク質を作ります。作り方は転写、翻訳という過程で行います。
|
5 |
ヒトのDNAの情報ってどのくらい? |
文字数は約30億文字、情報量としてはCD1枚分(?)程度だそうです。ホントかな?
|
6 |
遺伝子関係のいろんなこと |
主に以下などです。
1 遺伝子操作(DNAの切り貼り)
2 遺伝子治療(その人のDNAにあった治療)
3 突然変異の利用(動物、植物の品種改良)
4 クローン(生物のコピーを作る)
|
○ 詳細
1 DNAはどこにある?
遺伝子情報があるDNAはどこにあるのか調べて見ます。
場所は、細胞→核→染色体にあります。
染色体をさらに見ると、バネのような細い管でできております。
細い管をさらにみると、グルグルに糸が巻かれた丸い物体とその糸からなっております。その糸がDNAと呼ばれているそうです。(丸い物体はヒストン、糸が巻かれたヒストンをヌクレオソーム、細い管全体をクロマチンというそうです。)
さらにDNAを見ると、2本の細い糸がネジれて構成されてます。(このネジレをDNAの2重らせん構造というそうです。)
DNAの細い糸は、ヌクレオチドという塩基・糖・リン酸からなる物質でできています。
ヌクレオチドを構成する塩基は4種類のあり、それぞれグアニン(G)、シトシン(C)、アデニン(A)、チトシン(T)と呼ばれています。
この4つの塩基の並び方(塩基配列という)が生物の設計図です。
2 DNAにある情報
DNAの塩基配列の読み方は、塩基を3つずつ見ていくことからはじめます。塩基の3つかたまりはトリプレットといい、1つのアミノ酸を表現しています。このアミノ酸を指定する情報の単位をコドンといいます。
このコドンは4種類の塩基が3つ並んでいますから、4×4×4=64通りの情報が表現でき、20種類あるアミノ酸を指定することができます。
アミノ酸を指定できたら、アミノ酸からなるタンパク質も指定できます。
さらに、タンパク質が指定できるということは、タンパク質からなる酵素(この酵素は遺伝形質を支配します)を指定できます。
さらにさらに、遺伝に関する酵素を指定できたら、動物の遺伝形質を指定でき、動物を作ることができます。
大雑把いいますと、DNAはアミノ酸を指定することで動物の設計図としての役割を担っています。
3 DNAの複製
何十兆もあるヒトの細胞それぞれが細胞分裂をして、細胞を増やしています。その細胞の中にDNAは存在しており、DNAも同時に増えています。
DNAには結構な遺伝情報がつまっており、複製される過程も複雑です。ずばり簡単に説明します(ていうか簡単にしか説明できません)。
細胞の細胞分裂の時期は、前述(細胞分裂)のとおり、間期、前期、中期、後期、終期、そして間期にもどります。その間期はさらに、G1期(DNA合成準備期)、S期(DNA合成期)、M期(分裂期)、G2期(分裂準備期)に分けられます。4つの段階でDNAが複製されます。
具体的には、
1 2本のヌクレオチド鎖からなるDNAの2重らせん構造を、DNAボリメラーゼ、DNAヘリカーゼ、DNAボイソメラーゼという酵素がほどき、伸ばします。
2 ほどかれたヌクレオチド鎖に、DNAボリメラーゼ、DNAリカーゼという酵素が、新たなヌクレオチド鎖をくっつけます。
3 ほどかれたヌクレオチドのそれぞれに新しいヌクレオチド鎖がくっつき、2本のDNAができて複製終了です。
以上の3つの事柄が行われてDNAが複製されます。
4 DNAがタンパク質(遺伝関係の酵素)をつくる
DNAがもっている遺伝情報によって、タンパク質(遺伝関係の酵素)を作る過程は、転写、翻訳の2つの過程からなります。
(1)転写について
a 核内にあるDNAの2重らせん構造がほどかれます。
b ほどかれたDNAの情報をRNAポリメラーゼという酵素が読み取ります。
c RNAポリメラーゼはさらに、読み取った情報を元にmRNAというコピー物質を作ります。
d mRNAをさらに必要な部分だけに短くします。切り取られる部分をイントロン、残った部分をエキソン、切り取ることをスプライシングといいます。
以上a、b、c、dの流れを転写といいます。
(2)翻訳について
a 転写でできたmRNAが核膜を通り抜けます。
b 核外へ出たmRNAに、リボソームがひっつきます。
c リボソームはmRNAにとりつき、書かれている情報(アミノ酸の指定)を読み取り、mRNAのコピー物質であるtRNAをつくります。
d 過程cと同時に、リボソームはtRNAに指定された1個1個アミノ酸をくっつけていきます。
e mRNAとtRNAが離れます。
f tRNAにくっついているアミノ酸がタンパク質になります。
以上a、b、c、d、e、fの流れを翻訳といいます。
(3)翻訳のあと
翻訳後は、ゴルジ体(細胞内や細胞外へ物質を運搬する器官)へ運ばれ、必要なときに使用されます。
5 ヒトのDNAの情報ってどのくらい?
DNAにある文字情報は約30億文字だそうです。
4種類の塩基(グアニン、シトシン、アデニン、チトシン)が30億文字羅列されているわけです。つまり、4の30億乗(43000000000)の情報量であり、bitに直すと60億bitであり、約750MB(メガバイト)の情報量となりそうです。
750MBとは、CD1枚強の情報量です。えー、そんだけでヒトが作れるの?と首を傾げたくなる情報量です。
6 遺伝子関係のいろんなこと
バイオテクノロジーとは「生物を工学的見地から研究し、品種改良や医薬品・食品の製造に応用する技術。生物工学。バイオ。」(新明解国語辞典 第五版 三省堂)とあります。前述の内容と関連した内容で以下の物があります。
NO |
遺伝子組み換え |
説明 |
例 |
1 |
遺伝子操作 |
DNAの一部分を切り取れる酵素(制限酵素)やつなぎ合わせる酵素(DNAリカーゼ)で、DNAを別のものに書き換える技術を利用した方法です。
|
大腸菌のDNA(プラスミド)に遺伝子操作をほどこし、必要な物質を大腸菌に作らせることができる。
直接、動植物のDNAを操作し、能力の伸展、新たな能力の付加などを行えます。
※ 生態系への影響があるとして、ガイドラインが定められているそうです。
|
2 |
遺伝子治療 |
遺伝子を解析し、病原性のないウイルス(ベクター)を用いて、遺伝子にあらたな能力を加えたり、異常な遺伝子のはたらきを抑えたり、DNAを作り変えたり、個人個人にあった薬品を調剤します。
|
制限酵素、DNAリカーゼなどで、直接遺伝子を操作し、治療するのはまだ難しいそうです。
|
3 |
突然変異の利用 |
突然変異体(何らかの理由でDNAの塩基配列が変化して生まれた生物)を、薬品、紫外線、放射線、圧力、温度などを利用して人為的に作り出します。
|
耐寒、種無しなどの改良効果があります。
|
4 |
クローン |
哺乳類では、卵子の核を除いたものに体細胞の核を注入して受精卵をつくり、育てる技術。
|
ヒト以外は成功しているようです。しかし、なんらかの欠陥(寿命が短いなど)があるようです。
※ クローンと似たようなもので、受精卵になった直後(胚)の細胞の一部にES細胞(胚性幹細胞)があります。その細胞はどの器官にもなることができ、その細胞を培養すれば一度失った器官を再生することができるようです。
|
7 チェック問題
当ページチェック問題 ※javascript使用
(リンク先ページのチェック問題で、記憶の定着をはかって下さい。)
8 勉強になる動画、資料
|